※後半ネタバレ感想注意※
グランブルーファンタジー2020年4月のストーリーイベント
【窮寇迫ること勿れ】
キュウコウセマルコトナカレ
タイトルの元ネタは「窮寇は追うことなかれ」ですかね。
※ 孫子より「窮地に立った敵は、必死に抵抗してきて、思わぬ損害をうけるので、追いつめるな」の意の事、らしいです。
個人的に好きなキャラであるアルタイルがメインのストイベでテンション上がって来た!状態だったのですが、新型コロナウィルスの影響でオフレコは自粛。
ノーボイスでの実装になりました。
恐らくなのですがライターは私の大好きな「白詰草想話」の方ではないかと予想。
キャラの役割や物語の起承転結が分かりやすく、
と安心して見れました。
※前回の「傭兵お仕事帳」に続きストーリーイベントがいい感じです。
まぁ、その前にあった「こくうしんしん」とか復刻の「OOO」があまりにもお粗末だったのもありますが。
シナリオ的にはシンプルで
やべ、戦争負けそう。そうだ、有名な軍師のアルタイル呼ぼう!
アルタイルの采配が強靭!無敵!最強!これで勝つる!
やべ、なんか超ツエー敵が来た!どうする、アルタイル!?
なんやかんや勝った!完
です。
戦争が主体ですので勧善懲悪というわけではありません。
アルタイルは以前軍師だった、という設定がピックアップされたシナリオで、アルタイルの能力の高さはもちろん、あの背中の羽根の理由も付けてきたのは驚きでした。
あの背中の羽根に中々考えさせられる設定があってびっくりしました。
この設定が後付だったとしても考えた方GJです。
初期の方の話でアルタイルとルリアとのやり取りが逸品で、このやり取りを見た段階で「あ、このシナリオ安心して楽しめる奴だ」と感じました。
グラブルは設定的に人対人は描きにくい作品です。
なぜなら「星晶獣使えば良くない?」というのが前提に来るので(しかも団長とルリアは世界まで救った猛者)人対人を描きたい場合は
星晶獣なんて無かったかの様に振る舞うか、
今回の様に星晶獣を呼ばない理由を付ける
必要があります。
前者はただの設定無視なので養護できる所もなければ感銘を受けられる所はありませんが、今回の様に理由付けがあればそれだけで物語としての違和感がぐっと減ります。
また、グラブルの世界において星晶獣がどういう視点で見られているかの補填にもなりますね。
※主人公達は星晶獣が隣にいるのが当たり前だが、グラブルの世界の人たちにとってはそれは遥かに遠い非日常の存在なのがアルタイルの発言でよく分かります。
アルタイルの人の人との考え方もよく分かるシーンでした。
是非ボイス有りで聞きたい……いつの日かの実装を心待ちにしています。
物語の主題は三国志。そして呂布
恐らく、というかほぼ間違いなく三国志が元ネタなのですが、流石に工数的に三国時代にする訳にも行かず一国対一国でした。
団長達は攻められた側の国から依頼を受けるのが発端です。
国自体の掘り下げはほぼ最低限。主題となるキャラクター達の掘り下げがそこそこ、ですね。
物足りなさはありますが、情報量としては十分貰っているので色々と考えを巡らせることはできそうです。
今後続けるほどの情報量は無く、お決まりの「どうなる!?次回!」みたいなやり残しも無かったのでこのシナリオだけで完結をしています。
露骨に続きがありますよ!的なシナリオよりかは遥かに好感が持てます。
この作品を書いたシナリオライター以外のグラブルシナリオスタッフ。見習って!
アルタイル
【窮寇迫ること勿れ】でのアルタイルは二つ名が付けられる程の軍師、という設定がよく分かる物語でした。
クールかつ理知・理論的な印象のアルタイルですが、彼のフェイトストーリーを見れば感じられる様に決して感情を無視しているわけでないキャラクターです。
アルタイルが今の騎空団にいるのは自身の感情を優先させている結果です。
ですが、感情だけで動けば取り返しのつかない破滅を招く事もあるのをよく理解しており、今回の話では【清濁併せ呑んだ上で物事を進める強さ】をがよく現れておりました。
軍師として常に俯瞰して物事に当たる事ができるザ・軍師!というキャラなのがより掘り下げられました。
特に背中の羽根の設定は必見です!
マジでカッコいい……!
お願いサイゲームスさん。強化して。
水杖パで居場所を取るには本当にキツイの!お願いします!!
シュラ
スタイル抜群のCV豊口めぐみ(現状ボイス未収録)のキーキャラの一人です。
見た目の雰囲気的に「アルタイルと対を成す美女か!?」とか思ってましたが全然そんなことなく、むしろ過去にアルタイルの部下だったようでアルタイルに信を置いているキャラクターです。
アルタイルの下で再び戦うことになった彼女は今回の話を通して自身の過去との決着を付けます。
メインシナリオのサイドとして彼女自身のシナリオもありました。
詳しいことは実装時にフェイトエピで語られるでしょう。
プレイアブルキャラになるのでしょう。楽しみです。
しかし、ビジュアル的に得意武器は槍と短剣か……?
ウーノとかカトルとは組めるけどアルタイルと組むにはキツそう……良いのか?
4/30のレジェフェスでプレイアブルキャラになりました!
ボイス実装楽しみです。
ロウファ
どう見たって呂布。
もはや創作において呂布の代名詞であるG触覚も完備。
今回のストーリーの戦争の発端キャラなので、個人的にはもう少し生の感情が見たかった印象があります。声付いたら感じられますかね?
とはいえ、恐らく感情を大きく掘り下げられる程のキャパは難しいと想うので、製作よりに見ると仕方ないのですが……。
正直もうちょっと、なんかもうちょっと欲しかった。
ランファ
敵側のヒロイン的な感じで描かれてました。
シュラとの対比キャラで彼女自身の過去の葛藤も物語の根幹の一つだとは思いますが、 大きく掘り下げることはなく物語は終わりました。
持っている設定的に良い味が出せるフェイトエピソードが期待できるのでプレイアブル化を期待したいです。
最早大衆娯楽となった良く見る戦争もの。だがグラブルでは珍しい。
「白詰草想話」でも該当しますが、「窮寇迫ること勿れ」は「よっしゃ!やってやったぜ!」的な爽快感―カタルシス―は薄いです。
「窮寇迫ること勿れ」は世界にあふれる作品群の中で並でしょうが、グラブルの中では貴重なテーマの作品です。
話自体も突飛なもの、過去になかったもの、というのは無く、グラブルの世界観で描く人同士の戦争もの、としてまとまっていました。
グラブルの設定上、血で血を洗うような展開は難しいので悪を相手側にして自分たちは正義、という面を強く出すことが多いですが、戦争は人同士のやり取りの最果てに起こり得る減少です。
決して片方だけが悪い、というわけではないのを忘れずに表現できていたストーリーでした。
※戦争もの、というか、人と人との愛憎劇の盛り上がる終わらせ方の一つのテンプレは「機動戦士ガンダム」が該当しますが、グラブルはプラットフォーム的に「最後は怒涛の大展開の連打」というのは難しいのでしょう。
ただ、よくある剣と魔法のRPGで人の死の描写を臆面もなく切り出してくる所は非常に高い評価を付けたいです。
グラブルは困ったら「荒れくれ者」出して勧善懲悪的な感じにしますが、そもそも人と人の争いは互いに正義が有るゆえに起こるものですので敵味方の心情の描写というのは非常に大切なものだと感じています。
例え物語の世界観的に悪だと断ぜられても、その悪を行う理由が人間的な弱さからくるものなら見てる人は敵キャラを愛して認めて共感を得るものです。
※悪の心情描写はアニメ「PSYCHO-PASS(サイコパス)」が特筆できる作品ですね。
槙島聖護のように、「寂しかった」という理由は人を狂わせるには十分な理由です。
普段は表に出せない人間の奥底に淀む感情が見て取れる人物描写は読み手を惹き付けて話しません。
それは誰もが持ってしまう可能性のあるものですから。
結構数が増えてきたグラブルストーリーイベントの中、「白詰草想話」や「窮寇迫ること勿れ」の様な物語は稀有です。
チート・ハーレム(通称チーレム)が当たり前に持て囃される昨今の作品の中で、人の情けないと思われる感情を描く事を忘れないグラブルは中々チャレンジャーだと思います。
グラブルは結構なんでもかんでもこなす超人が多い(アルタイルもその中の一人の印象ですが)ですし、問題の解決の仕方が雑(剣脚あたりが良い例)なのでパッと見は派手で良いのですが掘り下げてみて面白いものが少ないイメージです。
そんな中、人の在り方をテーマとした作品を出してくれるのは嬉しいです。
グラブルが様々な切口から物語を展開できる、という良い見本になるでしょう。
メインターゲット層であると思われる20代・30代のプレイヤーにどう響くか、個人的に気になる点です。
シンプルには語りきれない物語が、これらの層にどう響くか今後の評価を見ていくのが楽しみです。
是非、「グラブルのストーリーはスキップする」という方も今回は趣旨を曲げて読んでみていただきたいです。
私はキャラクターを深く理解することはゲームへの情熱が生まれると信じています。
せっかくのキャラゲー。見て聞いて楽しんで下さい。
以下はネタバレ含めた評価になりますのでご注意下さい。
※ネタバレ感想
一番始めにびっくりしたのが新規グラの多さです。
これグラの「窮寇迫ること勿れ」の紹介ページだけでも8キャラ新規絵が見えたので
「新キャラ8人って絶対これ容量足りないでしょ」
と思ってました。案の定足りませんでしたが……。
主人公達の味方キャラに関してはどのキャラも物語に華を添えてくれましたが、え?今後使うのこのキャラ達?そんな大盤振る舞いなのグラブル?
とか思ってましたが
半分はちゃんと死にました。ですよね!
でもポオラリスちゃんだけでも返して……。今こそアカシャの出番だろ!
半端に残すとね、今後の物語にケチをつけられる可能性が高いですからね。
必要に亡くなったら死なす。はい、知ってました。
敵キャラに関しては顔グラのない王様は完全に董卓。
それに仕えているキャラ達もまぁ利己的な事利己的な事。
類は友を呼ぶ。
案の定敵側も大体死にましたね。ですよね!
あっけねぇなぁおい、ってのが素直な感想。。
この辺りの処理ちょっと雑だったかな、って思いました。
この程度の扱いだったらわざわざグラ起こさなくても良かったのでは?という完全に上目線の感想が……。
個人的にはこういうまとまった話大好きで今後も頼むって感じなのですが
グラブルで戦争の悲惨さ伝える必要ある?
という疑問点もあります。
手放しで全部は褒められないんですよね。
というか、秩序の騎空団どうした?
ついでに言うと十天衆もどうした?
ていうのがグラブルの設定的に出てきます。
この話がロウファ個人の謀反ならまだしも国対国の大規模ですので、今こそ出番じゃないの秩序メーン?
と思ったりもするのですが、アルタイルが軍師という設定な以上軍は必要です。
仕方ない……仕方なかったんだ……忙しんだきっと、秩序と十天衆は。
まぁ、アルタイルの考え的に星晶獣を使わないという設定もちゃんと出してきたので違和感の緩和は成功しているでしょう。
個人的に「窮寇迫ること勿れ」で評価したい点は
・アルタイルのキャラの掘り下げには十分なシナリオだった
・グラブルの世界観の星晶獣関しての一つの見解を表現した
・主要となったキャラクター達の在り方に共感できる
の3つです。
ロウファ・ランファに関してはもう少し頼む、的な感想も出ますが、決してこの二人だけが悪いわけでなく、見方によってはそうさせてしまった周りにも責任があるという終わり方になりました。
流刑はどうなん?と思いましたが……これからは国のために贖罪していく、的な方が受けは良かったような……。
いやでも元ネタ呂布なら無理か。そこは崩したくなかったんでしょうね。
飽くまでグラブルの中では高く評価したい物語、なので、繰り返しになりますが一つの物語としては並です。並以下か?
ですが、こういう試みは是非続けていってほしいのでこれからもこのライターさんを起用して頂きたいです。
お願いしますサイゲームスさん!